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1月9日は成人の日に相応しく快晴で、 暖かな日和に恵まれた好日だった。 そんな陽気に誘われて、展示終了を1週間後に控えた 東京国立近代美術館の「ヴァレリオ・オルジャティ展」に出掛けた。 周知のように「近美」は 建築家谷口吉生さんの尊父・谷口吉郎氏の名作。 道路を挟んだその横には、先頃他界された 日建設計の林昌二氏の「パレスサイドビル」もあり、 両雄並び立つといった皇居前の素晴らしい建築風景なのだ。 谷口吉郎設計の「東京国立近代美術館」 ©Synectics (左) 林昌二設計の「パレスサイドビル」 ©Synectics (右) スイスの建築家ヴァレリオ・オルジャティは、 僕自身昨年送られてきた資料を見て初めて知った建築家であった。 パンフに大きく掲載されていた「パルミ21世紀美術館」をみて、 興味を掻き立てられた。 アントニオ・ガウディ流のカテリーナ曲線をモチーフにしたような、 外壁のシークエンシャルな白いデザインが美しくもあり面白くもある。 一度見たら忘れられないフォルムだ。 ピーター・ズントーが審査員で、ザハ・ハディドらを破った 国際コンペの1等案だが、実現されず仕舞いで残念だ。 ヴァレリオ・オルジャティ ©Pedro Cho (左) カテリーナ曲線が連続する「ペルミ21世紀美術館」 Rendering:©Total Real AG (右) 展覧会を見て、僕はオルジャティという人は なかなかユーモアのある建築家と思った。 「スイス国立公園ヴィジターセンター」では、階段をY字形に分枝させ、 さらにそのふたつの階段を先細りさせ、 パースペクティブを強調した左右対称のおかしさ。 「リナルド・バルディのアトリエ」では、 屋根部分のないフェイクな切妻だけを外壁の上部につけたり、 「カウマ湖のプロジェクト」(未完)では、冬の渇水期になると 1階部分が出てくるという愉快な建築である。 「スイス国立公園ヴィジターセンター」の左右対称的な階段 ©Javier Miguel Verme (左) フェイクな切妻がちょっと見える「リナルド・バルディのアトリエ」 ©Javier Miguel Verme (右) ] 1階部分が水面下に隠れている「カウマ湖のプロジェクト」 Rendering:©Meyer Dudesek Architekten オルジャティは1958年スイスのクール生まれ。 現在はグランビュンデン州フリムスの片田舎にアトリエがある。 クールといえばズントーの初期作品「クール美術館連絡橋」があるところで、 両者はグランビュンデン州で仕事をしているという共通点がある。 またズントーの父親は家具職人、オルジャティのそれは建築家で、 双方ともに父親の影響が大きい。 さらに両者はアメリカで修業しているといったことでも似ている。 オルジャティの生地クールにある「クール美術館連絡橋」 ©Synectics (左) 世界文化賞受賞時のピーター・ズントー ©Synectics (右) 展覧会そのものは通常のそれとは異なって、 壁面を一切使用せず、床面の台の上に写真情報を置き、 白い模型を立ち並べたユニークな構成だ。 模型はすべて彼が気に入った1:33のスケールでできたもので、 細部が省かれた抽象性の高い模型。 その分彼のデザイン的特徴である 構造的なコンポジションが容易にわかる仕組みだ。 水平に置かれた写真は、その作品のスライドショーの他に、 彼が「図像学的自伝」と呼ぶ、彼に影響を与えた図版や絵画や写真が、 参照的なエレメントとして並置されている。 その中には「腰掛蟻継」や篠原一男の「愛鷹の住宅」の写真もあったが、 その解読は難解だ。 建築作品と同様非常に手の込んだこの展示空間こそが、 東京国立近代美術館という敷地を借りて、 彼が提示した建築なのではないだろうか。 垂直的な模型群と水平に配された写真情報が織り成す展示空間 ©木奥恵三/提供:東京国立近代美術館 ヴァレリオ・オルジャティ展 会場:東京国立近代美術館・企画展ギャラリー(03-5777-8600) 会期:2011年11月1日(火)-2012年1月15日(日) text : Masayuki Fuchigami / Synectics inc. (クリックすると写真が大きくなります)
by archieditor
| 2012-01-13 05:24
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