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せわしくなってきた師走の第1週に、 厳寒の金沢へ建築視察と味覚探訪の旅に出た。 冬の金沢は味覚の宝庫。 巷間香箱蟹などという代物が絶品と言われているが、 僕は甲殻類が苦手で舌に合わない。 という訳で、建築取材に突っ走ることになった。 12月7日(土)からの金沢の天気予報は雨で、 それが次週までずっと続くとあった。 これは建築取材に影響は大きい。 自他ともに認める晴れ男の面目にかけて、羽田空港で祈願。 「南無、金沢建築紀行に晴天を恵みたまえ!」。 小松空港に着いた時は小雨だが、 磯崎新の「中谷宇吉郎 雪の科学館」に着いた頃は止んでいた! しかもその後は全て晴天の日々となった! 柴山潟越しに遠望した「小松ドーム」(山下設計)と雪を頂いた山並み 「雪の科学館」は磯崎新の珠玉の小品といった印象だった。 アプローチが上昇して2階にアクセスするランドスケープが素晴らしい。 雪の結晶をイメージした6角形のユニークなプランが3棟連続する主棟の他に、 数10メートル離れた柴山潟湖畔にガラス張りのカフェを配し、 両者をスロープで繋いでいる。 主棟2階からの視線がカフェを貫通して 柴山潟の湖面に至る透明感の素晴らしさ! カフェ内に入ると目前に湖面が広がり、 その背後に雪を頂いた白山連峰が展開する。 そう、レマン湖に面したコルビュジエの「小さな家」と同じ佇まいだ! 道路越しに見た「雪の科学館」(左) 6角形プランの3棟が連続する主棟(右) 主棟側から見ると視線はカフェの開口部を貫いて湖に至る(左) カフェからワイドな水景色の素晴らしさを旅人が楽しんでいた(右) この先の加賀片山津温泉には 谷口吉生の「加賀片山津温泉 街湯」がある。 これは谷口が1995年につくった 「葛西臨海公園展望広場レストハウス」に似た作品。 柴山潟側と陸側がガラス張りで、 比較的奥行きが浅い建物が水際に立っている。 「葛西」では余りの透明感で鳥が激突する話を聞いたことがある。 「加賀」では内部に機能がかなり詰まっており、さしたる障害はないようだ。 とは言っても湖を前にした建物は透明感と眺望では人後に落ちない。 この後UAoの伊藤麻里設計で竣工ホヤホヤの 「サイエンスヒルズこまつ」を見学した。 これがスゴク伸びやかなランドスケープ・アーキテクチュアで、 植栽された屋根と外壁が一体となっている。 その重層した波のようなうねりが見事! 屋根を歩きながらこんな建築をデザインできる伊藤さんは、 よほど恵まれた建築家だと思った。 「加賀片山津温泉 街湯」の立面図は「葛西」のそれに似ている(左) 背後の海側は船着場に面している(右) 「サイエンス」は重層する波のようなうねりが圧巻!/photo:courtesy UAo(左) 内部空間には屋根形がそのまま出ている(右) 初日に石川県の西方向を攻めたので、 2日目は中央部から北方向を目指した。 大谷幸夫の「金沢工業大学」はメイン・タワーである 「ライブラリー・センター」を見学。 RC打放しのアーチを多用した建築だ。 目の前の静かな池に姿を宿した 「金沢工大」のシンボル・タワーは晴れ上がった寒風の中、 扇が丘キャンパス北校の中央クアドラングルに屹立していた。 この後北上しシーラカンスK&Hの「金沢海みらい図書館」を見学。 白亜のキューブに無数の穴を穿ったユニークなマッスの内部には、 これもユニークな図書空間が展開されていた。 最上階の天井高のある開架式空間には、 無数の穴から北国の晴れ上がった強い日差しを、 ほどよく削ぎ落とした柔和な光が流れ込んでいた。 青空を背景にした「ライブラリー・センター」(左) 内部もRCの力強い造形性に満ちていた(右) 「海みらい図書館」は 白い外壁に数多くのホールを穿ったユニークな外観(左) 内部の図書空間にはソフトな光が充満していた(右) その後昼食も取らずにかほく市まで北上し、 安藤忠雄の「西田幾多郎記念哲学館」へ行った。 建物名からして安藤建築的だと思っていたが、 我が意に違わず厳格なRCの冷たい表情は 日本を代表する西田哲学にナイスフィット。 ガラス張りの長く延びた哲学館は、 安藤の同時期の作品である「フォートワース現代美術館」(米)や、 2004年の「ホンブロイッヒ・ランゲン美術館」(独)と同様、 RC造の展示空間をガラス壁面が囲むという形式。 研修棟は入場無料で、地下に哲学ホール、 最上階に展望台がありこれが建物の顔となっている。 この後都心に戻り谷口吉郎+谷口吉生親子設計の「金沢市立図書館」へ。 耐候性鋼板をフラットに張った建物は、 エントランスのデザインで心に残る。 さらに夕刻駄目押しで、山口半六の「石川県近代文学館」 (旧第四高等中学校本館)へ駆け込む。 彼の熊本にある「第五高等中学校」を見た僕には、 使用レンガや窓デザインの違いが面白かった。 長い哲学館の背後から顔を出した研修棟の展望台が日本海への眺望を確保する(左) 研修棟地下の哲学館ホール(右) 「金沢市立図書館」はエントランスのデザインで記憶される(左) 「石川近代文学館」(旧第四高等中学校本館)の外観(右) 翌日は朝一谷口吉生の「鈴木大拙館」へ。 月曜休館だったが周囲のランドスケープを堪能できてよかった。 このあと兼六園にある谷口吉郎の「伝統産業工芸館」を見学。 下って「金沢21世紀美術館」へ。 ここも月曜休館だが内部には入れるので、 妹島和世の繊細極まりないデザインを堪能。 さあ昼ご飯ということで、片町にある フレンチ・ジャパニーズのレストラン「tawara」へ。 僕の旧知の建築家・小津誠一さんが 設計+経営している界隈切っての旨味どころ。 あっという間に小さなレストランはいっぱいになってしまった。 僕が自分のHPで連載を始めた「味惑の食う間」に紹介するために、 インタビューをする設定だった。 ワインを飲みながらカウンター越しに料理の出来上がるシーンが見える贅沢さ。 ワインと美味しい料理でインタビュー内容も忘れそう! 詳しくは追ってHPに掲載予定。 「鈴木大拙館」のウォーター・ランドスケープの素晴らしさ(左) 兼六園内にある谷口吉郎の「伝統産業工芸館」(右) 妹島和世の「金沢21世紀美術館」は金沢美術文化牽引の核だ(左) こじんまりとした「tawara」の外観(右) このあと小津さんの切り札ともいうべき主計町の「嗜季(しき)」を見学した。 木造3階建ての町家を和風の食事処として使用している貴重な空間だ。 桜並木越しに浅野川の流れを見ながら、 旅の疲れを癒してくれるような静かな和風空間でお茶を頂いた。 花見の頃はさぞや素晴らしい空間に変貌するだろう! 再度の金沢訪問を促すような佇まいであった。 浅野川沿いの古い町並み(左) 「嗜季」の浅野川側外観(右) 2階座敷から桜並木越しの浅野川への眺め(左) 座敷でお茶をいただくと旅の疲れも消滅(右) 実は今回の金沢建築紀行は、 小津さんのアドバイスを頂いて組み上げたもの。 短時間ながら多数の建築を見学できたのも彼のおかげだ。 その彼が最後に連れて行ってくれたのが、 「嗜季」の背後にある茶屋街の街並み! 僕は古い茶屋街の情緒纏綿たる街並みを しっかりと胸に刻みつけて金沢を後にした。 情緒纏綿たる茶屋街の風情 写真をクリックすると大きくなります。 Photos&text : Masayuki Fuchigami / Synectics inc.
by archieditor
| 2014-01-07 02:26
| Architecture
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