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北欧建築ツアーはすでに数年前にアルヴァ・アアルト・ツアーを開催し、フィンランドでの彼の作品50数件を見学しているので、今回はスウェーデンのグンナー・アスプルンドとデンマークのアルネ・ヤコブセンをターゲットにした。アスプルンドはアアルトやヤコブセンに影響を与えた北欧3大巨匠の領袖的存在だ。広大な緑のランドスケープに展開する荘厳な「森の火葬場&森の礼拝堂」。赤い神秘的な劇場空間「スカンディア・シネマ」。40万冊の書籍が織りなすインテリアスケープが圧巻の「ストックホルム市立図書館」。アスプルンドの数少ないインターナショナル・スタイルの「フレーデンベリ・デパート」など、ストックホルムには彼の代表作がひしめいている。 アスプルンドの代表作のひとつ森の火葬場 その他ストックホルムにはアスプルンド以外で、ジーグルド・レヴェレンツの「セントマークス教会」、ラグナール・エストベリの「ストックホルム市庁舎」、ラファエル・モネオの「ストックホルム近代美術館」。ホワイト・アーキテクチャーの「国際会議センター」を見学。いずれも傑作ぞろいだが、特に「セントマークス教会」は、レンガ面と目地のモルタルを面一に仕上げた寡黙な表情で緑に囲まれた環境に佇んでいた。 レヴェレンツの寡黙な表情のセントマークス教会 美しいシルエットを見せるストックホルム市庁舎 トップライトが連立するストックホルム近代美術館 メタリック・ストライプの国際会議センター それ以外のアスプルンド作品は地方にある。ソルナにある「国立バクテリア研究所」は現在きれいなホテルにリノベされている。広い吹抜け空間のロビーにアスプルンドのスパイラル階段が素晴らしい装いで立ち上がっている。ユルスホルムにある「スネルマン邸」は緑濃き敷地に立つ細長い2棟が連結した住宅だ。 国立バクテリア研究所はホテルになっていた スネルマン邸は2棟の連結が夏の家に似ている アスプルンドの「夏の家」は噂に違わず素晴らしい別荘だった。 バルト海からの奥深い入江に面した静かな海辺に佇む「夏の家」は、背後の岩山が風を遮ってくれるようだが、海風を遮るために妻側を海に側に向けた配置。農家をベースにしたデザイン故に、外観・内観は一見すると普通の家。だが細かく見ていくとアスプルンドの微に入り細を穿ったデザインに驚く。その発見の’連続がこの家の楽しみだった。「夏の家」のオーナーはアスプルンドの遠い親戚の人で、3時にパンまで焼いてくれて、テラスで楽しんだ。 夏の家海側立面 庭から午後の光にきらめく深い入江を眺める 居間内部。右手の長いデスクはアスプルンドの仕事机 テラスで3時のコーヒー・タイムを楽しむ デンマークの巨匠アルネ・ヤコブセンはアスプルンドに比べるとはるかに多作で、見ればみるほどその凄みが浸透してきて、自分が理解していた20世紀建築家山脈図の変更を余儀なくされたほどであった。つまり自分のヤコブセンに対する知識の欠如が災いしていたということなのだ。今回53件ほどの建築を見学したが、ほぼ半分がヤコブセン作品だ。その全貌を紹介する紙幅はないが、特徴ある作品を紹介しよう。最初の「スモーク・ハウス」は燻製工場で、参加した人たちはお土産用の燻製サーモンを買うのに忙しかった。海側のファサードが、ロシア・アヴァンギャルド的なデザインで面白かった。ヤコブセンは自分の「夏の家」をつくるのに、アスプルンドと相談したようだが、そのせいあってか妻側が海の方向に向いているのは同じであった。「ニュエア小学校」「ムンケゴー小学校」共に佳品だが、「ムンケゴー小学校」は種々の新しいデザインが散りばめられた作品。特に自然光の導入には目を見張るものがあった。 ロシア・アヴァンギャルド風なスモーク・ハウスの海側外観 森の中にひっそりと収まったヤコブセンの夏の家 大きなガラス開口部とハイサイドライトに恵まれたムンケゴー小学校 コペンハーゲン郊外には有名な「テキサコ・ガソリン・スタンド」、ベルビュー海水浴場には「監視台」「脱衣所」「シャワー・スタンド」などの小品がある。さらに白亜の「ベラヴィスタ集合住宅」、ヤコブセン自身の住まいとスタジオがあった「スーホルム集合住宅」、加えて現在は「ルクセンブルグ大使公邸」となっている「ベラヴィスタの家」を見学できた。これは一部がシュツットガルトの「ヴァイゼンホフ集合住宅」のコルビュジエ棟に似ていた。 ユニークな屋根形態のテキサコ・ガソリン・スタンド ベルビュー海水浴場の監視台 脱衣所とシャワー・スタンドもヤコブセンのデザイン 白亜のベラヴィスタ集合住宅 スーホルム集合住宅は傾斜屋根の雁行する連続フォルムが特徴 オードラップにある「ヤコブセン自邸」は今回のツアーのメインでもあったのでじっくり見学できた。インターナショナル・スタイル的なつくりだが、ディテールの凄さは別格だ。地下にスタジオがあっただけに、大きな住宅だった。現在売りに出しているようで、家具が一切なくがらんどうなのが寂しかった。その他「ノヴォ社製薬工場」は外部のガラス・シリンダーの階段室にヤコブセンのディテールの極意が表現されている感じで大人気だった。大作「SASロイヤルホテル」「デンマーク国立銀行」はヤコブセンのエッセンスが凝縮されており、比較的後期の作品のためにデザインの新しさが光っていた。 シンプルな自邸はインターナショナル・スタイル ユニークなガラス・シリンダーの階段室をもつノヴォ社 華やかなSASロイヤルホテルのロビー アーティキュレイトされたガラス・ファサードのデンマーク国立銀行 Photos and text:
by archieditor
| 2017-12-01 00:49
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