090824 成瀬・猪熊展を見る

8月22日のオープニングで見た成瀬友梨・猪熊純の展覧会は面白かった。
緑の青山墓地を見下ろす建物の5階にあるプリズミックギャラリーは、
スペースは小さいが抜群のローケーションにあり、
展覧会のチャンスが少ない若手建築家へのスペースの提供を惜しまない。
年何回かヤング・アーキテクト展をやっているようだ。

大きな開口部から青山墓地の緑が見える展覧会場（左）
青山墓地の緑を背景にした「バハマの住宅」（右）











青山墓地側の大きな開口部の前に展示されていたのが「バハマの住宅」。
主屋、客室、使用人部屋が分散配置されたプライベート・ビーチつきの豪邸。
長い庇が暑いトロピカルな太陽光線を遮る広さ700㎡のこの住宅は、
青山墓地の森を背景に建っているかのようであった。

僕が初めて成瀬友梨・猪熊純に惹かれたのは、
「ROOM101」というマンションのLDKの改修。
これは彼らの新鮮な感覚にやられたという秀作。
次に驚かされた「ひとへやの森」はコンペ優勝作品。
モノや居場所の配置とい切り口で室内風景の構成に取り組んだデザイン。
若い人は斬新なアイディアが良く出ると感心させられた作品である。

「ROOM 101」の模型と壁面展示（左）　　本当の森のような「ひとへやの森」（右）








今回の展覧会は、彼らの軌跡が模型で紹介されていたが、
一番大きなものは「整形合板の椅子」だ。
ナカナカよくできた椅子で、すわり心地も悪くない。
つくり方がシンプルで魅力的で、使用しないときは彫刻作品のような佇まい。

その他、「緑の家」「Alcove House」「A-Housing」「アルミの花」など、
アイディアが詰まったプロジェクトが、ところ狭しと展示されていた。
成瀬友梨・猪熊純の軌跡を手っ取り早く見たい人には格好の展覧会である。

彫刻のように見える「整形合板の椅子」（左上）　　「緑の家」（中央上）
「Alcove House」（右上）　　「A-Housing」（左下）　　「アルミの花」（右下）




















　　　成瀬友梨＋猪熊純　プロジェクト展
　　　
　　　　　2009年8月21日(金)－9月23日(水)　毎週月曜休み
　　　　　10:00 - 17:00　入場無料
　　　　　プリズミックギャラリー（株式会社プリズミック）
　　　　　東京都港区南青山4-1-9 秋元南青山ビル5F

　　　　　成瀬・猪熊建築設計事務所　http://www.narukuma.com/


photos & text : Masayuki Fuchigami / Synectics inc.