091009 フランク・ロイド・ライト と マリリン・モンロー

僕は昨年の4月半ば、千駄ヶ谷の狭苦しい事務所から、
現在の新宿御苑前にあるより広くより安いスペースに移った。
30年来の友人の厚意がなせる業であった。
さらにここはより至便でよりキレイで、まさにミース・ファン・デル・ローエのいう
“Less is more”のアフォリズムに匹敵する空間だ。
来社する人たちは異口同音、「素晴らしい事務所ですね！」と言ってくれるのだ。


1年半ほどが経った今週のある日、
朝オフィスへ入っていくと、いつも見慣れている
額に入ったマリリン・モンローが
異様な美しさに輝いているのを発見！
70cm×50cmほどのモンローのポスターの上に、
書棚の上に置いてある植木鉢から
新緑のポトスが延びているではないか。
ポトスの後からセクシー・ブロンドが
こちらに流し目を送っている。
思わぬ所で“社内美”を発見した。

このマリリンのポスターは、僕が『a+u』から独立して以来僕から離れず、
かれこれ20年もずっと一緒の社宝だ。
だがよく見ると、わが社には他にもマリリンの連続写真のポスターや絵葉書、
そして文庫本の写真集などがあるのだ。
僕が買ったのではなく、友達（特に女性）がアメリカに行った時に、
お土産に買ってきてくれたものが多い。
それは先のマリリンの額入りポスターが事務所にあるものだから、
僕はマリリンが好きだと思っているようなのだ。



で、今週末は美しい緑に囲まれたマリリンの話して終わると思ったら、とんでもない。
フランク･ロイド･ライトとマリリンの出会いの話を思い出した。
彼女が劇作家のアーサー・ミラーと親しい頃、彼らは自宅の設計を頼むため、
ニューヨークの「グッゲンハイム美術館」の現場管理のために
「プラザ・ホテル」に滞在していたライトを訪問したのだ。
この家は実現を見ない幻の家になったが、マリリンは子どもが欲しかったので、
子ども部屋も彼女の衣装部屋と同じ2階に計画されたという。
マリリンがママになるなんて、ちょっと想像もできないが、
残念なことにライトは1958年他界。
マリリンも1962年にミラーと離婚し、ノイローゼと不眠症に悩み、
同年8月5日にわずか36歳で夭折。

そうだ今宵は彼女のブロンド（金髪）のために、
バーボンのメーカーズマーク・ゴールド・ラベルの
残りでも飲みながら、写真集を見て彼女を偲びたい。




photos & text : Masayuki Fuchigami / Synectics inc.