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写真家の杉本博司が、 エルメスのスカーフをデザインしたような展覧会の案内が届いた。 これはどういうことかなという疑問符だらけで、 銀座のメゾンエルメスに出掛けた。 唯一のヒントは、案内状の表に掲載されていた写真だ。 茶室の一畳台目のような極小空間に、 赤いスカーフのごとき物が浮いる。 そのスカーフらしきものが風に揺らいだのか、 それとも杉本流のぼやけた写真なのか分からないが、 凝ったデザインで掲載されていた。 写真家・杉本博司がスカーフをデザインしたのか。 その本意をぜひ本人にも聞いてみたいと思った。 展覧会のパンフレットの表紙 ©Hiroshi Sugimoto/Courtesy of Gallery Koyanagi. 僕が初めて杉本作品に邂逅したのは、 2001年10月13日ペーター・ズントーの「ブレゲンツ美術館」。 「~大判に白黒でプリントされた著名建築をぼかした写像は、 霧の中で見るような印象だ。 サヴォア邸やアインシュタイン塔が、ボーっと浮かび上がってくる。 素晴らしい芸術体験だ」と、当日の日記にある。 その後は直島の「ベネッセハウス」の外部展示とか、 六本木ヒルズの海ばかり撮った『海景』シリーズ。 そして今年6月の直島旅行で見た、 安藤忠雄設計の木造ホテル「パーク棟」内にあった 杉本さん自身のギャラリーだ。 そんな杉本作品との出会いを思い出しながら、展覧会場へと向かった。 ブレゲンツ美術館で撮った「サヴォア邸」の懐かしい写真(左) ベネッセハウスの杉本氏の外部展示(右) 会場には吹抜けの高い天井から 吊り下げられた旗のようなものが、風に揺らいでいる。 これがカラフルで申し分なくきれいで華やかだった。 “カレ”(フランス語でスカーフの意)と呼ばれるこの作品は、 モノトーンの写真が多かった杉本さんには珍しく色鮮やかだ。 会場にいた杉本さんに、 写真家の杉本さんがスカーフをデザインしたのですかと聞いてみた。 「影の色」はそのためにつくったのではなく、 大きなプリズムを通過した光が描くスペクトルのグラデーションを ポラロイドで撮影した作品で、エルメスとアーティストが協同して 製作する“カレ「エルメス・エディター」”というプロジェクトに エルメスから誘われ、そこに「影の色」を使用することにした、 ということだった。 カレは辺140cmの正方形で、20種類 X 7枚の 計140 枚の限定商品。 各7,000ユーロ(税別)といういい値段だ。 会場の宙に舞う大判の華麗なカレ(左) レンゾ・ピアノのパースペクティブ空間にバッチリ(右) こういった感じで華やかにまとうのです(左) 杉本さんが使用したテーブルの上に置かれた細長いプリズム(右) 杉本さんは以前「伊豆フォト・ミュージアム」を設計し、 建築が好きであるのはわかっていたので、設計の話も伺った。 事務所には建築家が2~3名いて、 杉本さん自身がスケッチを描いて建築設計をしているそうだ。 現在「ハナエ・モリビル」のエントランスファサード側(?)の デザインをやっているとか。 インターナショナル・フォトグラファーの活動はますますワイドになってきた。 ポラロイドの「影の色」と杉本博司氏 エルメス・エディター「影の色」杉本博司展 会期:2012年11月15日(木)-12月31日(月) 会場:メゾンエルメス8階フォーラム 写真をクリックすると大きくなります。 Photos&text : Masayuki Fuchigami / Synectics inc.
by archieditor
| 2012-11-22 09:29
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