カテゴリ
以前の記事
2019年 11月 2017年 12月 2016年 10月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 03月 2015年 06月 2015年 02月 2014年 10月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
「下馬の集合住宅」 設計:KUS(小杉栄次郎、内海彩) オープンハウスの案内が有象無象メールで送られて来る。 その中でもビックリするようなものが時々ある。 KUS設計の「下馬の集合住宅」は異色の逸品だ。 何しろ木造5階建て(1階RC+木造4階)という触れ込みだし、 10年がかりという言葉も気になった。 9月26日の木曜日、 東急東横線学芸大学駅から徒歩10分ほどの建物を訪れた。 駒沢通り沿いの建物を道路の向かいから見ると、 全面ガラス張りの上階ファサードの内側に木造の細い部材が無数斜めに交錯しており、 家の中に森があるような不思議な表情。 駒沢通り越しの夜景。ライトアップで浮き上がった木斜格子の賑わい 建物の横腹を外部共用階段がスパイラル状に上昇して行く。 外部の延長としての螺旋階段から、入口位置が異なる住戸に入るので、 戸建ての住宅に入るような印象だ。 各階1戸の住戸はプランもすべて異なる。 5階の住戸に入るとプーンと木の香り。 開口部側に米松の木斜格子が多数配されている。 正に「ダンシング・ウッズ(踊る森)」といった雰囲気で、 これが木造の魅力を強調していい感じだ。 構造はと見ると、さすがに木造の柱は耐火被覆されて黒い柱となっている。 木斜格子は水平力を負担するブレース役だから、 火災時に消失しても建物崩壊にならないのでむき出しの木材のままだ。 木斜格子は内側のカーテンを引かなくても程よく目隠しとなり、 程よく外部も見せる優れもの。 最上階のテラスは南面の東横線方向のワイドな眺望が素晴らしい。 4階・5階のファサードのクローズアップ(左) 5階のワンルーム。スラブを支持する柱は耐火被覆で黒い(右) 木斜格子は近づくと外部が良く見え、離れると目隠しとなる(左) 近隣を眼下に納める5階のテラスは眺望抜群(右) 下階の室内には奇妙なデザインがあった。 螺旋階段の上部に当たる斜めの床に変な出っ張りがある。 家族が縦に座ってテレビを見る椅子?ガラス面を拭くための階段らしい。 コーナー部にはすごいディテールがあった。 部屋の角で斜格子が互いに食い違うのを、 スティール・ウエアによって空中の交差位置でインターフェイスさせるテクニック。 またガラス面と木斜格子の間に小さなアッパー・ライトが仕込まれており、 住宅なのに洒落たことをやるなと思って聞くと、 照明デザイナーの稲葉裕(フォーライツ)さんがライティングをやっているという。 何という贅沢!ちょうど夜景を見に来た稲葉さんに聞くと、 「1灯当たり2ワットのLEDですから、全部でも20数ワットでノー・プロブレム!」。 むしろライティングで浮き上がった「ダンシング・ウッズ」が外部からよく見えて、 建物のアイデンティティーを夜の駒沢通りに向けて主張していた。 斜めの部分に階段のような物がある4階の住戸(左) 木斜格子のコーナー部における難しいディテール(右) 2ワットのLEDによるアッパー・ライティング(左) 駒沢通り越しの見上げ。近隣では高さがあって目立つ存在(右) 駒沢通り沿いの敷地は準防火地域で、5階建ての場合、 1階は2時間、2階~5階は1時間の耐火性能が必要という。 そこで1階はRC造とならざるを得ないが、その上が木造4階建てだ。 案内してくれたKUS設計の内海彩さんによれば、 2003年に「木造耐火が可能ならば、 木造で集合住宅を建てたい」というクライアントのひと言からスタート。 よくぞそんなことを宣うクライアントがいるものだと感心した! 「当時は木造の耐火認定部材もなく、 越えなければならないハードルが多数あった」と内海さん。 だから当然時間はかかるが、 それでもチャレンジしたいという施主の熱意に押された。 結局10年かけて完成! これでは建築家もペイしないだろう。 でも難しい建築の達成感に溢れた彼女の表情は晴れやかだった。 彼女はこの10年の間に建物を分かり易く詳述した絵本を出した。 カラフルで可愛い建築のメルヘン『まちに5階建ての木の家がたちました』は、 苦節10年の素晴らしい形見だ! 子供の絵本のような建築のメルヘン 写真をクリックすると大きくなります。 Photos&text : Masayuki Fuchigami / Synectics inc.
by archieditor
| 2013-10-07 07:15
| Open House
|
ファン申請 |
||