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3月9日の午後、僕は初めて東武東上線のふじみ野駅に降りた。 静かな街だ。 建築家・石井秀樹氏設計の「勝瀬の家」のオープンハウスだった。 大きな駅前道路を行くと、やがて道は細くなって景色は郊外的になり、 広い畑が道路脇に出てきた。 満開の梅が午後の陽射しを浴びてノンビリ感を醸している。 咲き誇った梅がいい香りを放っていた 「勝瀬の家」は近隣に農家があるような農村的な雰囲気が漂う地域にあった。 道はかなり曲折して、最後の路地を右折すると、 地域性を意識した切妻屋根の住宅が見えてきた。 近づくと外壁は焼杉の縦羽目板張りの住宅。 全面黒茶色で寡黙かつ神秘的な雰囲気は、逆光も手伝って超かっこいい。 その上複数の切妻の峰々が聳え立ち、 集落のようなイメージによる視認性は秀逸。 僕は小さな住宅でも、こうした印象を与えられることを、 石井さんの手腕で教えられた。まさに「集落の教え」だった。 聳え立つ複数の切妻形が集落のようなイメージを喚起する 焼杉の縦羽目板張りが寡黙な表情を醸している 住宅は2棟に分かれており、若い夫婦と子供ひとりの住宅部分と、 奥様の陶芸工房が独立している。 工房は住人のプロフィールとして地域との接点になっている。 敷地を入ると、正面の切妻屋根の谷間のような奥まったところに玄関があった。 玄関に至る手前直ぐ右手が工房だ。 母屋とは敷地内の路地を介して対面している。 内部はほとんど仕上げ無しのストイックな空間。 床はRC打放しでクールだ。 仕事場だからそれもよかろうと思っていたが、 実は母屋の方にも至るところに打放しはあった。 つまり建築家はかなり抑えたデザインを志向しているようだ。 家路地の奥に玄関がある 陶芸工房の道路側にはショーウィンドウ的な窓があって内部の作品が見学できる 陶芸工房内部。スティール製のポールに板を渡して作品を展示する 主屋(左)と工房の間にある路地 この住宅は切妻屋根が5棟もあるという具合に、 家全体が巧みにアーティキュレイトされており、 それによって内部空間の大小・強弱を生成し、 種々の変化ある空間印象を生み出している。 5つの切妻はリビング、ダイニング・キッチン、浴室・パウダルーム、寝室、工房だ。 母屋では前者4つの空間がうまく分節され連結されて、 動線上の変化に達者な腕前を見せていた。 各室はいずれも切妻形の高い天井で、 広く取った開口部とあいまって素晴らしい開放感。 バスルームと寝室の間にはバスコートなる代物があり、 風呂上がりに裸でビールを飲むスペースという、僕好みの空間があった。 玄関ホール内部の正面はガラス張りでバスコートに面している リビングは切妻形の天井で高く開放的だ ダイニング・キッチンはリビングより広く、床はコンクリート バスルームは風呂桶もコンクリート製で床埋め込み型。右手がバスコート 内部の床は居間のみ板張りで、あとは全てRC打放しのグレー。 天井は板張りが多く茶系。壁面は白。外壁は全て焼杉。 色彩を抑えたデザインはクールで非常にフォトジェニックであった。 かつてセントルイスにある安藤忠雄の「ピューリッツアー美術館」を訪れた時に、 中庭に面した壁面の下部に横長の窓が穿たれ、 きれいな雪景色が見えたのを思い出した。 「勝瀬の家」ではキッチンと寝室に同種の開口部があった。 暑い夏には風が通って威力を発揮するに違いない。 主寝室の下部にとられた窓 「ピューリッツアー美術館」のロウ・ウィンドウ Photos&text : Masayuki Fuchigami / Synectics inc.
by archieditor
| 2014-03-24 12:29
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